越境ECの基礎知識
【基礎から解説】台湾越境ECの基礎知識&検討事項一覧
公開日:2022年05月16日 更新日:2022年08月02日
越境ECの基礎知識
公開日:2022年05月16日 更新日:2022年08月02日
「知識ゼロからわかる越境EC大百科」の「台湾越境ECの基礎知識&検討事項一覧」を解説したページです。
台湾越境ECの基礎知識の解説と併せて、台湾越境ECを始めるに際にやるべき事項を一覧でまとめています。
台湾の人口は約2,300万人。2020年の一人当たりのGDPは約2,800ドル(世界31位)です。直近ではコロナ禍で世界経済が停滞する中、3.11%(世界8位)の高いGDP成長率を実現しています。
また、各国の物価水準を考慮して生活水準に見合った購買力を比較したランキングでは、日本を抜いてアジアで5位となっており、日本価格で商品が売れる土壌があります。共働きが多い・晩婚化・親と同居している人が多いなどで特に女性が自由に使えるお金が多いという特徴があります。
面積 | 36,192平方km | 九州とほぼ同じくらいの面積 |
人口 | 2,357万人 | 日本の約5分の1(18%) |
移動距離 | 日本から3~4時間 | 日本の各都市から1日に数多くの便あり |
GDP成長率 | 3.11% | 世界8位(日本105位 -4.83%) |
名目GDP | 6,685億ドル | 世界21位(日本3位 5兆486億ドル) |
一人当たりのGDP | 28,306ドル | 世界31位(日本23位 40,149ドル) |
失業率 | 3.90% | 日本 2.79% |
1人当たりの購買力評価ランキング※アジア | 1位 シンガポール | 6位 韓国 |
2位 ブルネイ | 7位 日本 | |
3位 香港 | 8位 マレーシア | |
4位 マカオ | 9位 モルディブ | |
5位 台湾 | 10位 タイ |
経済産業省によると2017年時点で台湾の越境EC市場規模は約1,300億円と推測されます。
なお、2018年時点では日本の企業の越境ECの販売先は中国、アメリカに次いで台湾が3番目に多いです。
また、台湾ECの市場規模は約2兆7,000億円とされており、右肩上がりに成長を続けていています。
それに伴いEC化率は、日本が6.22%に対して、台湾は19.3%と比較高いです。
台湾EC利用者のうち越境EC利用者数は16%とされていて、越境ECの割合も比較的多いことから、越境ECとして台湾進出を成功させる余地は十分にあると言えます。
台湾で越境ECを行うメリット・デメリットは以下の通りです。
<メリット>
・輸送コスト・コミュニケーションコストが低い
・日本の販売手法、コンテンツが横展開できる
・参入障壁が低い(輸入規制、関税、販売許可等)
<デメリット>
・参入企業が多く、消費者の目が肥えている
以下、各項目について解説します
・輸送コスト・コミュニケーションコストが低い
時差1時間、飛行機で2~4時間という近距離、日本語を話せる人材が多いなど、輸送・移動・コミュニケーションコストを抑制できます。比較的事業を黒字化しやすい国となります。
・.日本の販売手法、コンテンツが横展開できる
台湾人は日本人以上にインターネットから日々情報収集をしており、且つ利用プラットフォームはYoutube,Facebook,LINE,Instagramで日本と同じです。その為、日本のインターネット広告手法及びコンテンツが流用可能です。
・参入障壁が低い(輸入規制、関税、販売許可等)
台湾は法整備が整っており、輸入規制及び申請方法は透明化されており正規通関での輸入障壁は高くありません。ただし、関税や規制は商品商品ジャンルによって大きくことなる為、事前確認が必要です。(以下関税の一例となります)
商品ジャンル | 関税 ※一例、商品区分によって異なる |
---|---|
化粧品 | 0~5% |
食品 | 30% |
アパレル | 10.5~12% |
・参入企業が多く、消費者の目が肥えている
参入障壁が低い分、台湾に進出する海外ブランド(日本企業も含め)が多いのが特徴です。台湾人の日本商品に対する情報収集能力も高く、他社商品と比べて差別化出来る特徴やそれに見合った価格で販売しないと、しっかり売上を作っていくのが難しい市場です。
海外進出形態は以下の3つに分類され、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で販売を開始することが重要です。
進出形態 | 特徴 |
---|---|
日本直送型越境EC販売 | ・海外の顧客からオンラインで注文を受け、日本から顧客に直接配送 ・現地法人、現地社員、正式通関など必要ない (Shopeeなどの越境販売可能なECモールを活用すれば簡単に始められる) |
現地代理店販売 | ・海外の代理店と契約を結び、代理店に自社商品を販売してもらう ・正式通関を経て、現地で代理店が在庫を持ち、現地での販売となる (委託と買取がある) |
現地法人設立 | ・海外現地法人を設立し、自ら在庫を持ち、自ら販促活動・販売を行う ・法人設立、正式通関、自社社員、現地在庫が必要になる。 |
以下は進出までの流れの一例となります。先ずは、事前調査を行い3年間程度の事業計画(収支シミュレーション)を作った上で、意思決定を行うことをお勧めします。
1.進出候補国のリストアップ
2.事前調査(市場調査・競合調査・各種規制・物流・販促・進出形態・外注先など)
3.収益シミュレーションの実施
4.進出国・進出スキームの決定
1.全体のスケジュール策定
2.マーケティング・プロモーション戦略の策定
3.翻訳業務・自社HP・モールなど各種webページの作成
4.返金・返品・交換のポリシー決定
5.決済プロセスの構築
6.越境配送オペレーションの構築
7.カスタマーサポート体制の構築
8.オペレーションテスト・テストマーケティングの実施
9.販売の開始
<パターン1>販売代理店の活用
1.現地販売代理店の選定
2.代理店との契約内容の合意
3.代理店との売買契約の締結
4.貿易手続き・免税手続き(ある場合)
5.現地への商品の輸出
<パターン2>現地法人の設立
1.法人登記
2.各種ライセンスの取得
3.駐在員の派遣・現地雇用の開始
4.貿易手続き・免税手続き(ある場合)
5.カスタマーサポートの構築
6.現地決済の構築
7.物流体制の構築
8.販売の開始
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越境EC販売の場合、主に自社公式越境ECサイトで販売するか、越境ECモールに出品するかの選択があります。
両方実施することが望ましいですが、商品特性によってどちらを優先するかを判断します。
以下は自社ECでの販売とECモールへの出品による販売それぞれのメリット・デメリットになります。
進出形態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
自社EC | ・表現自由度が高く、ブランドの世界観を伝えられる ・モールプラットフォームの販売・表現規制を受けない ・細かなプロモーション分析が可能 ・定期販売が可能 ・顧客リストが自社のものになる |
・構築のための費用と工数が必要 ・ECサイトへの流入施策が必須 |
ECモール | ・低コストで開始できる ・ECモールの販促キャンペーンに参加すれば自社商品への一定の流入を確保できる ・普段利用しているプラットフォームのため消費者の購入ハードルが低い |
・ブランドの世界観を伝えにくい ・プロモーション分析に制限がある(Facebook等の外部の広告計測が不可能) ・定期販売ができない ・他社商品と容易に比較検討される |
台湾の4大ECモールは以下となります。それぞれ出店プランやルール、得意なターゲットや商品が異なりますので、詳しくは運営会社や支援会社に問合せることをお勧めします。
ECモール名 | 特徴 | サイトURL |
---|---|---|
Shopee「蝦皮購物」 | シンガポールが本社。近年、台湾・ASEANで急拡大しているECモール | https://shopee.tw |
momo 購物網 | 女性ユーザーが多いECモール | https://www.momoshop.com.tw/main/Main.jsp |
PChome 24h | 家電販売から始まり、現在は豊富な品揃え・24時間以内の発送をウリにする。 | https://24h.pchome.com.tw |
Yahoo!奇摩購物中心 | 台湾のヤフーが運営するECモール | https://tw.buy.yahoo.com |
台湾で越境ECを始めるにあたって検討すべき事は主に以下の3つがあります。
1.販売商品選定
2.決済手段の構築
3.返品・キャンセル対応
台湾で売れる商品と日本で売れる商品の特徴は大きな変化はございませんが、異なる気候や習慣に配慮して販売商品の選定をする必要があります。
<日本との共通点の一例>
・消費者のニーズを満たし、その商品に他社商品と差別化出来る特徴がある。
・その希少性に見合う価格設定になっている。
・口コミや売れている実績があり、品質に対して安心感を持てる。
・EC販売ページで上記のメリットを分かりやすく伝えるコンテンツ素材がある。
<日本との相違点の一例>
・温暖な気候の為、アパレルなどで冬物が売れる期間や消費量は少ない。
・高温多湿の為、化粧品はさっぱりしたテクスチャーが好まれる傾向がある。
・メイク、ムダ毛処理率は日本より低い。これから伸びるであろう市場。
・バスタブがある家庭が少ない為、バス用品販売には注意が必要。
・外食が一般的な為、自炊率・頻度は少ない。
・プレゼント需要の対象外になる商品が異なる(ハンカチ、タオル、包丁など)
台湾は現金信仰が根強く、ECにおけるクレジット使用率は45%(2021年調査)で、コンビニ払い・代引きなどの利用率も高いという特徴があります。
台湾向け自社ECを構築する場合は、クレジットカード以外の決済手段も活用することで購入者層を増やすことが可能です。
尚、日本直送型の越境ECにおいても、後払い決済を提供している事業社があるので活用がお勧めです。
台湾では商品到達から7日間のクーリングオフが認められております(未使用の場合)、また商品使用後に「商品に問題があったので返品したい」と連絡が来る場合もある為、事前に対応方法を決定しておく必要があります。
・日本や台湾に返品商品を受け付ける場所を確保
・返品前のコミュニケーションで返品理由や商品の状態を確認(写真で送ってもらうなど)
・返品後に商品の状況を確認し、返金実施
自社対応が難しい場合は、返品対応をアウトソーシングすることも検討すると良いでしょう。
台湾での越境EC成功のコツは以下の3つです。
1.初期の制作・認知施策や口コミ施策にしっかり投資をする
2.「売れる」商品ページを作成する
3.消費者からの問い合わせ対応をしっかり行う
台湾人も初めて出会った商品は、検索して「他の人の評価」「最安値」などを調査します。その為、販売開始時にブランド名や商品名での検索結果に口コミが存在する事が重要です。
販売初期段階で以下の施策を行うと、その後の広告効果が良くなる傾向があります。
・モニター施策(素人ブロガーにサンプリングしてブログにレビューを書いてもらう)
・口コミ施策(台湾人がよく利用する掲示板にトピックを立ち上げる)
・SNSギフティング(インスタグラマーにサンプリングして投稿してもらう)
また、検索してもらう為に、覚えやすい漢字のネーミングやブランドコピーを用意することも重要になります。
商品ページには、以下のような情報を記載し、購入意欲を高めることが重要です。
1.日本での実績(販売実績やリピート率、満足度など)
2.日本でも注目されているという証拠(メディア掲載事例やインフルエンサーのキャプチャ)
3.安全性の証明(工場の写真や各種安全証明書、権威者の声や愛用者の声など)
4.商品の細かな情報(大きさ、量、使い方、原産国など)
5.配送や返品について
1~3はまずは日本の素材で実施し、その後、台湾現地でもPR施策の実施を行い、現地由来のコンテンツを集めて台湾販売用のページにも追加すると購入率が上がります。
構築する言語は中文繁体字となります。
中国で使われている簡体字とは字体が異なり、香港とは言葉の言い回しが異なる場合がある為、注意が必要です。
また、台湾では二重価格(定価と販売価格が異なる)が一般的で、定価では売れずらい為、定価を高めに設定し、販売価格は定価からの割引価格を表示するとお得感が出て売れやすくなります。
台湾ではFacebook利用ユーザーが多く、公式HPを持っていない中小企業であっても公式Facebookページを運営しているのが一般的です。
その為、台湾用公式Facebookページを制作し、情報発信と消費者からの問い合わせプラットフォームとして活用することをお勧めします。LINEやInstagramの運用もお勧めです。
公式ECやモールの商品ページ内にFAQを記載してもテキストでの問い合わせが来ます。(日本での販売より問い合わせが多い傾向)
迅速かつ丁寧に対応し、購入不安を払拭することで購入率とブランドの評価が上がります。
また、メールやチャット以外に電話受付も行うと、より安心感を高めることが可能です。
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